国王は椅子から立ち上がり、すごく楽しそうな表情でコバルトブルーのドレスを選んだ。
 ミケールに渡すと、ミケールはまたフウルを引っ張って衝立ての後ろへ入れた。
 逆らうこともできないほどあっというまに、こんどは美しいコバルトブルーのドレスに着替える。
 また衝立ての外へ行くと、リオ・ナバ王は満面の笑みだ。
「思ったとおり、とてもよく似合う——。自分でもそう思うだろう?」
 と、大きな鏡を示した。
 ——これが、わたくし?
 鏡の中には、柔らかい金色の巻毛のすらりとした女性がいた。大きな目の奥の青い瞳、コバルトブルーのドレスがその瞳の青さを強調してとても美しい。
 自分がこんなに華やかな姿になれるなんて信じられなかった。ナリスリア国ではいつも、『ドブネズミ』とみんなに陰口を叩かれるほどだったのだ。
「ほんとうにこれが、わたくし⋯⋯?」
 信じられない思いで鏡の中の自分の姿を見つめていると、リオ・ナバ王の姿が、ふと鏡に入ってきた。
 フウルの後ろに立つ。
 そして、にっこりと微笑んで言った。
「ではこれから、我が国を案内しよう——」