「おい、お前らっ」

「ひゃー大人の部屋って感じだわ〜」

「え〜絶対やらしいのたくさん隠してる。探すぞ結衣!」

「おぉー!」

「ちょっと2人とも!」

濱谷くんの『勉強教えて作戦』

すごくいい案だとは思ったけど、私は断られたらすぐ帰るつもりで……。こんなことしたら嫌われちゃうよ。

「勉強教えたら、帰ってくれんの?」

廊下とリビングをつなぐドアのふちにもたれながら、矢吹さんがそういう。

シンプルな部屋着を着ているけど、顔があんまり綺麗だから見惚れちゃうほどかっこいい。

っていうか、矢吹さん今日は女の人と会ってなかったんだな……。

部屋に入ったら女の人が寝ていましたって状況をなんとなく予想もしていたから……。

「はいっ!私は数学で、はまやんとアズは英語!矢吹さん得意そうな顔してるので大丈夫ですよね!」

結衣がそういうと、「ほんとテキトーなことしか言わねーガキだ」なんてブツブツ言いながら、ソファにドスンと腰を下ろした。

「さっさと終わらせるぞ」

それって……。
勉強、見てくれるってこと?