「……っん」

カーテンの隙間から差し込む光で、目を覚ます。

見慣れない部屋に、ふかふかの布団。
自分の部屋じゃないことは確実だ。

確か私……、昨日は卒業式や打ち上げがあって、それからそのまま……。

はっ。

記憶がだんだんと鮮明になってきて、徐々に身体中が熱くなる。

私……矢吹さんと……。

昨日の夜の、味わったことのない体温や、感覚を思い出す。

「ひーーー!!」

思わず出た声を隠すように、布団へと潜り込む。

で。

肝心の矢吹さんは?

布団から恐る恐る顔を出して、隣で寝てるであろう矢吹さんの方へ身体を向けるけど、そこには真っ白い枕がポツンと置いてあるだけ。

どこ行ったんだろう……。

それにしても、昨日こと……。

思い出せば思い出すほど、恥ずかしくなるけれど、今まで以上に矢吹さんと触れることができて、改めて幸せな夜だったなと感じる。

たくさん、好きだって言ってもらえて、名前を呼んでもらって。

矢吹さん、ほんと、かっこよかったな。

鼻に布団が触れて、ふわっと矢吹さんの匂いが香る。もうずっと、こうしていたい。

何度も昨日のことを思い出しては、きゃー!と恥ずかしくなって布団の中で足をジタバタさせる。

「どんな夢見てるからそんなにバタバタすんの」

っ?!

大好きな声がそう言うのが聞こえて、バッと身体を起こす。

「矢吹さんっ!!」

「そんなに驚く理由がわからないんだけど。あ、記憶ないとか言わないでよ?」

そこには、上半身裸の矢吹さんが、ズボンだけ着てマグカップを持って立っていた。

「いや、あ、えっと、……よく覚えて、います」

「え、そんな恥ずかしいことよくもまあ堂々と」

「や、矢吹さんが記憶ないとか言うなって言うから!」

騒ぐ私の元に、矢吹さんが近づいてくる。