制服レモネード

「だって、まだキスしかしてないんでしょ?あの授久くんが……」

『キス』という単語だけで、ボッと顔が火照る。
矢吹さん、昔どんな風に過ごしてたこんな風に言われちゃうのよ。

「いや、単純に、その、女としての魅力がないんだと思います。夏穂さんもすごくお綺麗だし……私なんて……」

自分に自信がないから、すぐにヤキモチ焼いて不安になって。

全然ダメなんだ。

「そんなわけないでしょ。大人の私から見ても梓葉ちゃん色っぽいわよ。女子高生で恋愛未経験ってウブな感じもありながらも、ふと見せる表情がすごく色っぽい」

っ?!

「いやっ、」

『色っぽい』なんて、そんなこと初めて言われたよ。しかも綺麗な夏穂さんに言われたら、恥ずかしさで溶けちゃいそうだ。

「それに、授久くんはもともと人のこと傷つけない人だからね。心に決めた大切な人なら特に、簡単に手出したりしないんじゃないの。授久くん言ってたの。今の彼女の言葉がずっと胸の奥にあるって」

矢吹さん、ちゃんと恋人がいることを、夏穂さんに話していたんだ。

「授久くんね、そりゃ遊びが激しい人だったけど、恋人がいる人とそういうことしたりしなかったの。割り切ってる人だけとって言うのかな」

なるほど……。
遊び人なりにも、矢吹さんの中で、超えちゃいけないルールがちゃんとあったんだ。