そしてやってきた夕食の時間。
矢吹さん宅。
「いや〜ごめんね〜梓葉ちゃん。お家の人とか大丈夫?許可、とった方がいいかな?」
リビングのソファで矢吹さんと並んで座っていると、夏穂さんがカウンターキッチンからひょこっと顔を出してこちらを見た。
「あ……いえ、うちの両親帰り遅いので大丈夫です」
「そっか!梓葉ちゃんとどうしても話したくてさ〜」
ニカっと笑ってそう言った夏穂さん。
大人っぽいのにそうやって無邪気に笑うところ、いわゆるギャップ萌えって感じで私までドキッとする。
「本当、急でごめんな」
すぐそばに座る矢吹さんもそう謝る。
「ああっ!」
突然、キッチンの方から大きな声がして、私と矢吹さんは同時にキッチンに立つ夏穂さんに目を向ける。
「大きな声出すなよ……」
「忘れた!」
「は?」
ソファから立ち上がって、夏穂さんの方へと向かう矢吹さん。
離れないで欲しい。
私以外の誰かのところに行かないで欲しい。
心の中がそんな独占欲でいっぱいになる。
「キムチ鍋にしようと思ってたんだけど、肝心のキムチの素買ってくるの忘れちゃったの……授久くん買って来てくれる?」
「はぁ?なんで俺が……」
「え、授久くん、女性1人に夜道を出歩かせるつもりなの?」
「……ったっく、わかったよ」
少し間を置いた後に、矢吹さんが財布とスマホだけをズボンのポケットに入れて玄関へと向かっていった。



