制服レモネード


「それって、夏穂さんは矢吹さんのこと好きで、2人きりで話す口実にそんなこと言ってるだけなんじゃ……」

「いや、それはないよ。夏穂とは昔からそういうのまったくないから」

矢吹さんのその言い方が、まるで彼女は特別だと言ってるみたいでモヤモヤする。

「そんな風に思ってるの矢吹さんだけかもっ」

「本当だよ。高校の頃から彼氏一筋のやつだったから」

それでも、人の気持ちなんていつどう変わるかわからないよ。

「お願いだよ、梓葉。信じて」

矢吹さんが私の手を包み込んでそう言うので、コクンと頷くけれど。

内心、まだ不安だ。

また、仕事で会えない日々が続いたら、耐えられるだろうか。

学校と会社、思ってたよりもすごく距離を感じる。

私と矢吹さんの生きている世界って、思ってたよりも全然違うのかも、なんて。





「よかったじゃん。はまやんの誤解で!」

週明け、結衣と濱谷くんに矢吹さんとちゃんと話せたことを報告すると、結衣が嬉しそうにそう言った。

「うん。ふたりとも色々と相談に乗ってくれてありがとうね。あっ、そういえば、結衣、あのチラシもありがとう」

あの後、メッセージでもお礼を言ったけれど、改めて結衣にお礼を言う。
あの日、矢吹さんと話せたのは少なくとも結衣のおかげだ。

「いや〜親友としてあんなことしかできなかったけどさ。でも、キッカケになれて良かったよ」

結衣はそう言って少し照れたように手を後頭部に持っていった。