たとえば、こんな人生も②

渡したのは、婚姻届


偶然、姉さん達が読んでいた雑誌の
付録としてついていて
それで、このサプライズを思い付いた


それで、将来のどうこうを決めたいとか
そういう意図はまったくなくて


ただ


家族になることを
ためらいなく、受け入れられるくらいに
あなたが好きだと、伝えたかった



「本当のクリスマスプレゼントは
冷蔵庫の中にあります
チョコレートケーキ
いつきさん用に作ったんです」


「…」


「上手に作れたんですよ
明日、食べてみて下さい」


「…」


「……いつきさん?」


笑って話す私とは対照的に
いつきさんは、難しい顔で黙り込んだまま

何か考え込んでいるみたいで
呼びかけにも反応しない

かと、思えば

急に立ち上がって
どこかに行ってしまう



「…」



………怒らせた?

やっぱり、やりすぎだった…?


いつきさんは
基本的に怒ることはないから
調子に乗ってしまったかもしれない

クリスマス気分で浮かれていたのもあったし


でも、冷静に考えたら
やっぱり、真剣に交際してくれている人相手に
するものじゃなかったと思う


もんもんと考えながら
結果的に自分が悪いと言う結論に至って


……謝ろう


いつきさんを探しに行こうと立ち上がる



「ひなたちゃん」



その瞬間
また、後ろから声をかけられる