仕事中

掃除用具を持って、移動していると

途中の喫煙所で
最近見かけていなかった人の姿を見つける


「お疲れ様です。れいかさん」

「あら、ひなた。お疲れ様」


声を掛ければ
椅子に座ってタバコを嗜んでいた
れいかさんは私に顔を向けた

じっと私を見つめて
それから、おもむろに手を伸ばしてきた

細くて綺麗な指先が
私の目もとに、そっと触れる



「アリサあたりが騒がなかった?」

「…かなり」


問いかけに渋い笑顔を返せば
れいかさんは面白そうに唇の端をつり上げた


泣き腫らして真っ赤になった目

お昼よりマシになったとはいえ
完全に隠しきる事は出来なくて

出勤して早々
驚愕の表情を浮かべる姉さん達
(特にアリサ姉さん)に
どうしたの!っと問い詰められた

いつもなら、場を収めてくれる
さゆ姉さんやシュカさんみたいな人が
今日はいなかったから

うろたえ暴走する姉さんを
落ち着かせるのに苦労した


私の話を聞きながら
「本当に過保護なんだから」と
タバコ片手にくすくす笑うれいかさん