たとえば、こんな人生も②

まこちゃんやシン君の補助は
あくまで出退勤と休憩のタイミングで
男の人と関わる瞬間がある時のみ

基本的に仕事中は
以前と変わらずひとり行動

元々、仕事中に誰かと会ったり
話したりすることは
ほとんどなかったけど

オーナーが色々配慮してくれて
私が作業している時間は
完全に人払い(男の人のみ)してくれることになった


私ひとりの都合に
他の人を巻き込むのは気が引けるけど

今は、それに甘えさせてもらうことにした



「…」


仕事中、ふと視界に入ったのは
いつきさんの仕事部屋



……いつきさんと、全然、会えてない…



意図的に
直接会うことは避けていた

私も、いつきさんも

今の状態で顔を合わせるのは
お互いにとって良くないって思ったから


それでも

いつきさんは
私が寂しくないように、不安にならないように
毎日、電話やメールをしてくれる

食欲がなくても、食べられるようにって
作り置きのおかずを差し入れてくれる

少しでも、私が安心して過ごせるように
たくさん考えてくれて
見えないところでも支えてくれてる




……文化祭が終わって
すれ違いの日々もようやく終わると思ってた

また、前みたいに
ふたりで食卓を囲んで
穏やかで優しい時間を過ごせるって


……なのに



「…」



もっと、近くで


声を聞きたい

顔を見たい


会いたい

さみしい



……でも、怖い



傷つくのも、傷つけるのも嫌



いつきさんは変わらず優しく笑いかけてくれる



だけど