たとえば、こんな人生も②

「あ、いつきは来るって」

「え?いつきさんは、今日仕事って…」

「早めに終わらせて、見に来るって」

「そうなんだ」



……いつきさん、来てくれるんだ

色々、気にかけてくれていたいつきさんだけど
今日まで、相変わらず
すれ違いの生活だったから

少しでも、顔を見れるのは嬉しい



「ねぇ、ひなた
美冬達、ちょーっと気になる場所があって
付き合って欲しいんだけど」

「お願い♡」


小首を傾げながら、両手を合わせて
可愛らしくおねだりポーズを取るふたり


「うん。いいよ」

「「ありがと~!!」」


断る理由もないので
こくりと頷けば、ふたりは揃って目を輝かせ
満面の笑みを浮かべた





―――……





「「きゃ~っ!!かわいい~!!」」



美冬ちゃんとアリサ姉さんが
試着室から出てきた私を見るなり
黄色い歓声をあげる


そして


カシャカシャカシャカシャ

耐えることなくシャッター音が鳴り響く


「ひなた!次、これとこれ!」

「後、これも」


構えたスマホのカメラで、連写しまくり
気の済むまで写真をとったあと
持っていた衣装をぐいっと押し付けられる


「あの、美冬ちゃん、アリサ姉さん
ひとり、3着までだから…」


狂喜狂乱、興奮気味の姉さん達

その勢いに気圧されながらも
他のお客さんの視線もあり
「落ち着いて…」とふたりをなだめる


「えー…」っと不服そうに顔をしかめながら
しぶしぶ、手にした衣装を一度おろして
最後の一着を吟味し始めるふたり



姉さん達が行きたかった場所とは
貸し衣装屋兼撮影館

生徒が作ったたくさんの衣装を
実際に着て撮影したり、そのまま校内をまわることができる

写真撮影はひとり3着まで
好きな衣装を来て撮影できる