私は授業は比較的真面目に受けるタイプだ。
午後の授業は正直眠いけど、今日は体育だった。体育も別に嫌いじゃない。簡単に起きていられるからという理由だけで、どちらかというと好き寄りですらある。
けれど、友人はそうではないみたいだ。
「午後の体育が一番萎えるわ…」
「え、そう?私は寝ないで済むから好き寄りだけど」
「いや、寝たいよ、午後は」
“大体、食後の運動なんて胃もたれするしさー”なんてぶつくさ言う彼女に苦笑する。
「てかさっき、別に振り向いたわけじゃないでしょ?」
「え」
「どーせ藤倉センセー見てたんでしょ」
「う」
バレてた。言われた。せっかく忘れかけてたのに。
どうやら私は、とぼけるのが下手らしい。いや、元々知ってはいたんだけど。
私が呻くと、友人は呆れたように笑う。なにもかも見透かされているようだった。
「大好きだもんね、“千晴くん”のこと」
「それはそう、だけど…」
「認めはしちゃうんだ、かわいーね」
なにそれ、と まるで口説くような馬鹿にした口調を非難するように呟くと、彼女は全く心が込もっていなさそうに「ごめんごめん」と笑った。