また、ある日は一人暮らしをしている心太のアパートに行くと、

「あ、このお茶碗可愛い♡」

小ぶりな、所謂スマイルのお茶碗が2つあった。

「何で2つあるの?」

心太は一瞬、気まずそうに、

「友だち用やねん」

そう、苦笑いを浮かべた。

心太のアパートはキッチン道具が、男の1人暮らしにしてはやけに揃っていて、ペアのカップなどもあった。

「詩生里、ブレンダー、便利やで」

心太がブレンダーを出してきた。

「おまえも使ったらええでな」

また、『も』。

え、なに。

もしかして元カノと一緒にしてる?

「どした?詩生里」

心太が詩生里の髪の毛を撫でる。

その時、嫌だと思った。

だってその手で元カノの髪の毛、撫でたんやろ?