詩生里(しおり)と付き合った翌日、心太(しんた)は、

『おはよう!
もう死ぬ事は止めたわ!
おまえも止めろよ!』

詩生里にメールを送った。

昨日、話をしている詩生里の左手にリストカットの跡があったのだ。

詩生里からは、

『うん』

だけだった。


‐ある日、ホームセンターに出掛けた日、

「わー♡」

広い店内に、便利なキッチングッズたち。

詩生里はテンション上がりっぱなし。

「詩生里、それ買うの?」

心太が聞く。

「うん、うち、コップをタオルの上に置いてあるから」

「それ、トレーが小さいでこれにしぃ」

その時は、何も思わなかった。

だけど、

「詩生里、これ、便利やで」

男の割りにキッチングッズに詳しい。

もしかしても⚫みち?

そう思った詩生里はズレている。