恋の病に、堕ちてゆく。

しばらく美容院に行っておらず、肩下まで伸びていた。きちんと乾かすには時間がかかるけど、手が疲れないかな?


「自分でやります」

大きめの声で伝える。

「背中、痛むんでしょ?俺がやる」

せめてもの罪滅ぼしってやつ?


「綺麗な茶色の髪の毛だね」

「いえ…」

少女漫画のヒロインはこういうシチュエーションではドキドキしているはずだ。私も別の意味でドキドキしてる。

またもや誘拐犯に背後をとられてるんだもん、平然と居られるはずがない。


つっ…。

ほんの一瞬、青波の指が耳を掠めた。

くすぐったくて身をよじる。