恋の病に、堕ちてゆく。

シャケの骨を器用に箸でよけながら、青波は黙々と食べている。

食べ方、綺麗だな。

おまけに朝から寝癖ひとつなく髪の毛は整えられ、お互いに睡眠不足だろうにくっきりとした二重瞼は目力を引き立てる。

ワイシャツと黒のスラックスを履いており、この人を誘拐犯と想像する人はまずいないだろう。


箸では骨を取り切れずに手で抜くと、当たり前のようにティッシュを渡された。

私のことよく、見てる。
仮に脱走計画を立てようなら、一瞬で見透かされそうだな。青波には私の頭の中が見えているよう気さえしてくる。


「玉子焼きも美味しい…」


形も色も完璧な玉子焼きを食べると、甘く味付けされていた。


「味、大丈夫?醤油にするか迷ったんだけど」

「うちも甘い味付けなので、美味しいです」