恋の病に、堕ちてゆく。

監禁されたばかりの頃、青波が寝ている隙に部屋から抜け出そうとして失敗した時に同じことを言われた。

あの時は恐怖しかなかったけれど、今はただただ恥ずかしい。


「ん、…」

首元を舐められる。

「…先に、ご両親への挨拶が先かな」

青波は口を尖らせて不貞腐れたように言う。

ゆっくりと温もりが離れていく。

「もっと加奈ちゃんを独り占めしたいけど、お父さんに怒られそうだよね」

「…知りません!」

待って!待って!無理!
急展開すぎて身体も心もついてこない!


「帰ろうか、お母さん待ってるでしょ?」

「……」

帰りたくない。もっと一緒に居たい。

「ほら、行くよ」


青波は立ち上がって花束を持ってくれた。

こういう引き際の良さが、大人というものなのかな。私はもっと、一緒に居たい。

青波の好物のオムライスを一緒に食べに行きたいし、映画館にも行きたい。挙げたらキリがないな…。