恋の病に、堕ちてゆく。

青波は手を振り払うことも握り返すこともしなかった。

「…少し俺の話をしてもいい?」

「もちろんです」

私たち以外には誰もいない公園でやっと落ち着いて話せるね。


「最初、警察は加奈ちゃんの誘拐を反対していたんだ。加奈ちゃんにお母さんの現状を伏せるよう、お父さんが頼んだけれど警察側は断った。嘘をつくことは本来の警察の仕事ではないしね」

そうだよね。真実を見極めて犯人を捕らえ、市民を守ることが警察の仕事だ。反対するよね…。
お父さんも最終的に警察が同意したことに驚いたと言っていた。

「そんな時、俺は事件に巻き込まれている高校生がかつて妹の心を救ってくれた加奈ちゃんだと知り、お父さんの意見に賛成した。なるべく加奈ちゃんを傷付けないためにお父さんと作戦を練った。それが、誘拐という設定だった。両親が別の場所で捕えられていると聞かされれば、母親が昏睡状態だとは想像しないと思ったから」

うん、騙されてたよ。

黙って話を聞く。

「だけど、警察の上層部は承諾しなかった。何度説明しても俺たちの意見は聞き入れられなかったけど、四季が説得してくれたんだ」

四季が?
それは初めて聞いた話だ。