恋の病に、堕ちてゆく。

こちらに気付いた青波も人だかりから抜けて、私の前に立った。

「青波さん、なんでここに…」

「さっき、俺のこと呼び捨てにしてなかった?」

出逢いが最悪だったから心の中では呼び捨て、とは言えないーー違う、今はそんなことはどうでもいい。


「来てくれたんですか?」

「卒業おめでとう」


スーツ姿であの時からなにも変わらない青波はピンクの花束を差し出してくれた。

「ありがとうございます」


卒業式で号泣しすぎて枯れた涙が、また溢れてくる。

青波は優しい顔で笑ってくれた。


クラスメートの視線を浴びているが、それどころではない。ただ青波の笑顔を他の人も見ているかと思うと、複雑だ。

独り占めしたいと思ってしまう。

「あっちに公園があったね。時間があるなら、少し話そうか」

「はい!」

2人きりで、話したい。