恋の病に、堕ちてゆく。

「もう会えないのかなあ。どう思う?」

「お母さんに聞かれたって、分からないわよ。プリン食べる?」

「食べる」

カウンター席に移動して、プリンをもらう。

高校卒業まで後1年。
進路は決まらず、志望大学もない。

将来のことを考えたり勉強したりしなければならないのに、最近は携帯ばかりに意識がいってしまう。


「そんなに良かったの、青波さんのこと」

「お母さんは会えてないもんねぇ。とてもいい人だったよ」

夕飯の下ごしらえを始めたお母さんは「そっか」と、あっさりと返事をした。娘が初めて気になる異性の話をしたのに、干渉してこないことは意外だった。もっと大袈裟な反応が返ってくると思ったのに。

「青波さんと連絡をとっていること、反対しないの?」

「加奈の命の恩人でしょ?さすがに反対できないわよ!ただし、秘密はなしよ。全部、話してね」

全部は無理だよ。ドキドキした監禁生活の詳細は秘密にしておこう。

「うん。やっぱりお父さんを説得してくれない?」

「そしたら加奈が青波さんに執着していることも、話さないといけなくなるよ?」

「無理」

お父さんは絶対に一から十まで聞いてくる。根掘り葉掘り誘拐生活のことを聞きたがっていたから、勉強すると言って逃げたのに。また面倒臭いことになってしまう。