恋の病に、堕ちてゆく。

お母さんが入院している病院は初めて行く所だった。犯人グループからお母さんを隠すため、敢えてかかりつけではない病院に搬送されたらしい。

入院している部屋は2階の角部屋で、日当たりがとても良かった。

カーテンで仕切られたベッドの向こうを見ることが怖くて、立ち止まってしまう。お父さんは黙って私が覚悟を決めるまで待っていてくれた。

ふぅ、気持ちを落ち着かせてカーテンを開ける。


「お母さん…」

声が震える。


頬にガーゼを当てて酸素マスクをつけ、いつかの点滴をしている。呼びかけても目を開けてはくれない。

ギュッと手を握ってみても、反応はなかった。
いつも温かく私を包み込んでくれるその手は、冷たかった。

「お母さん……」

ただただ哀しくて、辛くて、その場に崩れ落ちそうになる身体をお父さんが支えてくれた。