恋の病に、堕ちてゆく。

先生はバッグから、スタンガンを取り出した。初めて現物を見た…。

「いつもこの時間、四季は買い出しに出掛けているから、大我はコレで気絶させるわ。その隙に、逃げて」

「でも青波が…」

血の気が引いて、声が震える。


「それは上手く振り払うしかないわ。チャンスは一度きり、スタンガンを使ったと同時に走り出して、外に逃げるのよ。家の前に私が乗ってきたタクシーを止めてある。あなたが乗ったら病院に行くように住所も伝えてあるから、なんとかタクシーに乗って」

タクシーに乗れたなら、先生と私の勝ちだ。

「でも私を助けたら先生が彼らに何をされるか…」

「大人のことは気にしないで。さ、ドライヤーを切るわよ。大きな声はダメよ。持っていくものはある?」

ドライヤーの音が消える。

高鳴った心臓の音が響いてしまいそうで深呼吸した。