恋の病に、堕ちてゆく。

テーブルの上で古典の参考書を立て、四季の視線を遮る。集中、集中。


「俺、一応、現役大学生だから教えようか?」

「は?」

誘拐犯が大学生?
ああ、また嘘だ。

参考書のおかげで四季の顔は見えない。

「…自分で、できます」

「そう?信じてないかもだけど、俺は東京で一番、頭のいい大学に通ってるよ」

「大学生が、私の監視をしていていいんですか?」

東京で一番?随分と話を盛ったものだ。さすがの私も嘘だって分かる。

「今、2月じゃん?大学は春休みなんだよね」

「もう春休み?」

「うん、4月まで休み。やることなくて暇だから、青波に付き合ってるんだ」

私の誘拐は、四季にとって暇つぶしでしかないって許せない…。こっちはどんな思いで毎日過ごしてると思ってるのよ。