恋の病に、堕ちてゆく。

その晩、別の仕事があるという理由で私の夕飯だけテーブルに置いて、青波は一緒に食べずに出て行った。

こんなこと初めてだ。


熱々の煮込みうどんをすする。
テレビもないこの部屋でひとりご飯は寂しい。

誘拐犯であっても優しい青波の存在に、深い孤独を感じずにいられたのだ。


「でも、美味しい」

卵の半熟加減も絶妙だし、にんじんもハート型に切られていて誰かに美味しく食べてもらうために丁寧に作られたものだ。

もっと雑に作ってくれたらいいのに。毎食カップラーメンにしてくれた方がずっと気が楽だ。

全て食べ終えて、ぼうっとする。
今日は早く眠ってしまおう。起きていると嫌なことを考えてしまいそうだ。