沙羅ちゃんが卒業して、1年とちょっとが経った。ちょうど住んでいる街では、桜が満開の季節だ。

 今、俺と沙羅ちゃんは桜が綺麗なことで有名な、地元の公園にいる。桜がずらっと並んでいて、ピンク色の背景の中に沙羅ちゃんはいた。

「桜って、全体写すのとアップで写すの、どっちがいいのかいつも迷っちゃう……でもアップの方が好きかも」

 そう言いながらカメラのレンズを桜に向けている沙羅ちゃん。

「俺は、全体を写す方かな? そして雲ひとつない青空とピンクの桜の組み合わせが好き」
「やっぱりそうなんだ。涼太くんのSNS、青空と桜の写真、多いよね」

 辞めようと思っていたSNSも、沙羅ちゃんのお陰で再び更新するようになった。沙羅ちゃんのために更新している部分も心の中にある。相変わらず沙羅ちゃんはいいねをくれる。そして、前よりも長いコメントをくれるようにもなった。最近は俺も沙羅ちゃんがSNSにアップした写真にいいねをしたり、実は苦手だったコメントも書くようにもなった。

 コメントを書くたびに、会った時に直接「ありがとう」って言われる。コメント返しだけでいいのに。そんな沙羅ちゃんも好きだけど――。

「というか、沙羅ちゃんって桜が似合うよね。桜が背景だと、沙羅ちゃん、もっと可愛く見える」
「あ、ありがとうございます」

 最近はタメ口で話してくれていたのに、急に顔を赤く染めて敬語になる沙羅ちゃん。照れた表情も可愛くて、桜を背景にその姿を写真に撮る。

「今、撮りました?」
「嫌だった?」
「……嫌、じゃないです。その写真も後でほしいです」 

 大好きな沙羅ちゃんと、大好きな桜。
 見ているだけで気持ちが高ぶり、幸せいっぱいだ。

 あの時、沙羅ちゃんに勇気をだして告白して、本当に心の底からよかった。

 これからも、沙羅ちゃんの隣にいたい。
 これからも、ずっと一緒にいたい――。

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