今日の大切な卒業式という日も、こうやって撮ってくれて――。というか、私に会いに来てくれているのが本当に不思議。

 写真を撮り終えると、涼太くんはカメラのモニターを眺めていた。眺めながら涼太くんは言った。

「俺は、自分が写す写真の世界の中には、好きなのしか入れたくなくて……だから好きな風景とか……好きな人しか撮りたくなくて……」

 カメラのモニターを眺めていた涼太くんがこっちを見た。

「沙羅ちゃん、撮影以外の時間も、ずっと一緒にいてほしい」
「えっ?」

 ずっと? どういうこと?

「俺は、沙羅ちゃんが好きです。付き合ってほしい」

 これは告白、だよね?
 でも、涼太くんに告白されるなんて信じられないよ。どうしよう……。

「嫌だ?」

 固まっていると、涼太くんは私の顔を覗き込んできた。

 ふと、初めて直接リアルで会った時にもこうやって覗かれて「嫌?」って聞かれたことを思い出した。なんだったかな? たしか「これからも会おうよ」みたいなことを言われた時だったかな。

「嫌ではないです……私も、ずっと一緒にいたいです」
「一緒にいたいって思ってくれて、嬉しいよ。ありがとう」

 涼太くんは、カッコよく笑った。