シャロのもふもふな胴を撫でつつ、上司の顔色を伺ったり叱られたりする妖精たちの様子を思い浮かべた。シャロがいなくなってしまったら、この柔らかな毛にも触れなくなってしまうので残念だ。すると、ごろんと寝返りを打ってこちらを見上げて、今度はシャロの方が尋ねてきた。
「ボクもキミにひとつ聞いていい?」
「どうしたの?」
「キミはなんで、見ず知らずの男の子の病気を治したいんダ? ボクの力なら、どんな願いも大抵は叶えられるノニ。例えば、一生使いきれないほどの富を手に入れるとか、好きな条件で元の世界に転生するトカ。自分以外の人のためにそんなチャンスを逃してイイノ?」
「いいのよ、これで。ロアン様はね……前世の私の励みだったの」
ルサレテは前世でずっと病気だった。元気なときは外で遊んだりして普通の生活を送っていたけれど、体調が悪いときは寝たきりで、学校にはあまり通えなかった。周りの人たちから、同情的で、腫れ物に触るような扱いをされて、悩みを話せる友達もいなかった。



