(これはかなり美味しいイベントね)

 ペトロニラも捜索に参加するかと思いきや、彼女は攻略対象たちとのお喋りに夢中で、一切指輪のことなど頭にない様子だ。どうせ、このテーブル席では空気扱いなので、ルサレテは早く指輪探しをすることにした。

「失くし物探しを手伝ってくるわ。皆さんでごゆっくり」
「とか言って、本当は私たちの会話に入れないのがお辛くなっただけではありませんか?」
「まぁ……そんなところ」

 彼女の嫌味を笑って受け流し、椅子から立ち上がる。ペトロニラは、ようやく邪魔者がいなくなったと言わんばかりの清々しい様子で、攻略対象たちに話しかける。

「では皆さんは、お姉様抜きで私とお喋りしましょ?」
「「…………」」

 しかし、誰も彼女の言葉に頷かない。そしてなぜか、ロアンまで立ち上がった。

「じゃあ俺も行くよ。手伝ってあげるなんて、優しいね」
「僕も行こう」
「私も」
「俺も」

 他の3人までルサレテに続いて椅子から立ち、王女の失くし物探しを手伝う意思を示した。ペトロニラは、彼らが自分ではなくルサレテを選んだように感じ、眉間に皺を寄せた。

「皆して……お姉様に付いて行かれるんですか……!? なら私は、ひとりで楽しみますよぅ」
「うん。君はそこで座っているといい」