妖精が干渉して、ロアンがルサレテと園遊会に出なければならないように状況を操作したのだろう。彼に無理を言われたような記憶はなく、ロアンの記憶も一部が改変されているらしい。家長の代理という具体的な事情についてルサレテはよく知らないので、適当に相槌を打った。

 ルサレテとロアンはテーブルに着き、ステージの上を見た。王家に招かれたファンファーレ楽団や歌手、踊り子たちが次々にパフォーマンスをしていく。
 続いて登場したのは、色んな国を渡り歩いているという大道芸人で、打楽器人形を操りながら変わった音楽を奏でた。

「わ……見てください! あの猿の人形、すごく可愛いです!」
「ルサレテ、はしゃぎすぎ」

 呆れたように言う彼だが、好感度がなぜか+2上昇した。

(あら……どうして好感度が?)

 普段は落ち着いた性格のルサレテが盛り上がっている様子を見て、どこか楽しそうにロアンも笑う。ただステージを楽しんでいただけなのに、その様子を見て好感度が上がったことを不思議に思う。

 すると、ロアンがテーブルに包装された小さめの箱を置いた。これは何かと聞くと、この前の薬のお礼だと彼は答えた。

「どんなものなら喜んでもらえるか、分からなかったんだけど……」

 包みを開けてみると、その中には手のひらサイズの熊のぬいぐるみが入っていた。瞳が宝石でできていて、首にも青い宝石のネックレスを着けており、明らかに高価そうな代物だ。
 ルサレテは可愛いものが好きだ。こんな可愛らしいぬいぐるみをロアンが買っているところを想像すると、なんだか面白い。

「とても気に入りました……! 大切にしますね」

 ぬいぐるみを撫で、にっこりと笑ってお礼を伝えれば、また好感度メーターの数字が変わる。今日はやけに調子がいいみたいだ。

 するとそのとき、後ろから聞き慣れた声がした。

「お姉様がどうしてここに? それに、ロアン様まで……」

 声の主は、ペトロニラだった。