家を追い出されて1ヶ月。攻略対象たちの好感度を上げようと頑張ってはいるが、未だに全員0を下回ったまま。
 宿舎の自室でひとり、空中ディスプレイを眺める。

(また……イベント発生)

 詳細を見ると、王家が主催の園遊会だった。攻略対象の中で好きな相手を選び、参加することができるという。

「好きな相手を選んだら、あとは妖精の力でセッティングしてくれるということなの?」
「そういうコト!」
「へぇ。すごい力なのね」

 妖精はこの世界の人たちに干渉することが可能なのだとシャロが説明した。だから、主人公がペトロニラから脇役のルサレテに代わっても、ルサレテの行動のひとつひとつを新たなオリジナルのシナリオとして組み込み、進行できるのだ。

 すると、シャロが目の前をふわふわと旋回しながら改めてこのゲームについて説明した。

「セリフも行動も基本的に自由! 要所でボクたち運営がサポートはするけど、キミはのびのびこの世界を満喫するだけでいいヨ」
「満喫って……。楽しむどころか破滅しそうな感じしかしないんだけど」
「ボク的には、好感度-100から始まるっていうのもなかなか面白いと思うけどナ!」