慶介「ほら、カフェの経営の傍らカメラの仕事してるって言ったじゃん?」
 千晶「何回か俺も撮ってもらったんだよ」
 菜穂子「へぇ……」

 菜穂子(そういえば美奈がそんな話してたような)

 千晶はラザニアを食べ、フォークを片手に持ちながらこちらに聞く。

 千晶「菜穂子こそ、なんで慶さんとふたりきり?」
 菜穂子「本当はもうひとり来る予定だったのよ。今日はタルトの作り方を教えてもらったの」
 千晶「あーあの写真のタルト、ここのだったのか。通りで見たことあるような気がした訳だ」

 千晶は菜穂子と慶介のことをちらりと見る。その後、ラザニアを完食して手を合わせ、立ち上がる。

 千晶「ご馳走様」
 慶介「もう帰るのか? もうちょっとゆっくりしていけば……」
 千晶「いや、また改めてお邪魔します。休業日に」
 慶介「営業日にしてくれ」

 そのまま千晶は、菜穂子の腕を引っぱった。

 菜穂子「わっ、何……!?」
 千晶「行くぞ」
 菜穂子「ちょっと千晶、そんな引っ張らないで……!」

 無理やり連れて行かれる菜穂子を見ながら、慶介は思った。

 慶介(まさか、西野さんが好きな訳あり相手って……いや、まさかな)