前みたいに戻りたいとか、あわよくばそれ以上に仲良くなりたいとかそんなこと望んでるのは私だけだって分かってたはずなのに…
「やっぱり嫌だよね。ごめん、調子に乗って、忘れ、」
「ここならいい。」
慌てて前言撤回しようとした時、凪くんが顔をあげてスマホの画面を見せて来た。
「へ?」
「ここなら一緒に行ってやってもいい。」
洗練された雰囲気を纏う『tempestas』といつイタリアンレストランのサイトだった。
高そうだけど、私のお小遣いで足りるのかな…
いやでも、凪くんとご飯にいけるチャンスだもん!
「…うん!行こう!一緒にっ」
「……じゃあ、また連絡する。」
そう言って家を出て行った凪くんの背中を、火照る顔を抑えながらずっと見つめていた。
"また連絡する"なんて私がどれほど嬉しいか、凪くんは知らないでしょ?



