「あ、凪くん、手…」
蓮華を持つ俺の手を見て、びっくりした表情を見せるしずく
毎日探してたら、結構傷が出来てた
まあでも、しずくのためだから。
「別にこれくらい」
「ダメ!どうして、私の手は手当してくれたのに、自分の手はそのままなの」
泣きそうな顔で訴えかけるしずく
「…俺の手なんてどうでもいいだろ」
しずくの白くて長くて華奢な手と違って俺は男だし、ごつごつしてるしほっとけばすぐ治るだろう
「ダメだよ!たくさんの人の目に触れる手でしょ」
たくさんの人…確かに。
あの時しずくだけに触れれるような道を選べばどうなってたんだろう。
「…別に大丈夫だから」
「だめ!」
「本当にいいって」
「私だって、凪くんにもらった優しさお返ししたいよ」
潤む瞳の中、強い意志が俺を射抜く
その真剣な表情に、簡単に心持っていかれる。
「っ、」
「してもらってばっかりじゃ嫌だもん。これくらいさせてよ」
救急箱を取るために部屋を出て行ったしずく
1人になった瞬間、力が抜けてベットへ倒れるように寝転がった
「…っ、こんなんじゃ諦めれねぇじゃん」
1人呟く声は、きっとしずくには届かない。



