「イヤリングどこで無くしたんだよ」
「駅前の書店の前の茂みだと思う…」
「雑誌、買ったんだ」
その言葉に私の持っている袋をちらっと見た凪くん。この前は買いそびれちゃったからね。
「う、うん。」
「つららが載ってるから?」
なんでそんなこと聞くんだろう
質問の意図が分からなくて顔を上げれば、真っ直ぐ送られてくる視線と絡んだ
先に視線を逸らしたのは凪くんだった
「や、っぱりなんでもない」
「凪くんが載ってるからだよ…っ、」
「…そう」
短い言葉だけど、どうしてそんなに嬉しそうに俯くの?
ねえ、どうして?
優しく握られた手に、ドギマギして、体がふわふわしてくる感覚
なんとか消毒液の痛みに耐えて、手と腕に悍ましい数の絆創膏が貼られた。



