好きだなんて、【完】



風季と勉強したりするし、しょっちゅうお邪魔してるはずの霧沢家の廊下がいつもと違うように見えるのは凪くんのせい。



リビングに招かれて、いつもの私の定位置のソファに腰掛ける。



「ん、手貸して」




沈黙を破った凪くんが持っているのは救急箱



え、手当してくれるの!?



「いっ、いいよ!自分でやる」



「そんな両手傷だらけでどうするわけ?」



「……」



また呆れた顔されちゃった。



大人しく手を差し出すと、ごつごつとした男らしい凪くんの手にそっと握られる。



「っ、」



心臓が飛び出しそう。


こんなんでドキドキしてるのはきっと私だけだ。



「すごい傷だな…」




私の傷をまじまじと見てそう呟く



凪くんは手当してくれようとしてるんだから、鼓動よ静まって!



「…ごめんね。」