好きだなんて、【完】


ずっと立って待っているのがしんどくて、玄関のドアの前に座り込む。




「はあ…本当にいいことない」




なんでイヤリングも無くしちゃって、鍵まで忘れちゃうの



膝に顔を埋めて大きなため息をつく。




すると廊下の奥の方から、歩く足音がして顔を上げると歩いてくるのは凪くんの姿



「何してんの」



今日も冷たい氷点下の表情で見下ろされる



無視されないより、ましだよね



「鍵、忘れちゃって…えへへ」




「あっそ」




笑顔でなんとかごかしてみるけど、興味ないと言ったような顔



めんどくさい、って顔に書いてある



「もうすぐお父さんかお母さん帰ってくると思うし、大丈夫だよ」



凪くんは私のことなんて気にしなくていいから。



お仕事も疲れてるだろうし



「…手、どうした。」



「っ、これは、転んで…」




どうしていつも冷たいのに、こう言う時に現れるのは凪くんなの?