好きだな、この表紙
「…だろ」
「え?」
雑誌から慌てて視線を凪くんに移す
「本人がいるんだから、こっち見ればいいだろ」
そんなこという凪くんの顔はありえないくらい真っ赤だった。
「…へ」
思わず漏れた声
そんなこと言うなんて、ずるいよ。
好きな気持ちがかき消せなくなる。
「あのっ、霧沢凪くんですか?」
振り返ると女子高校生らしく女の子が感激した様子でたっていた。
「あ、はい。」
「ファンなんです!握手してください!」
「もちろんです。いつも応援ありがとうございます。」
にこっと効果音のつきそうな笑顔を向けて、握手をするその姿は王子様さながら。
…私あんな笑顔向けられたことない
黒い感情が渦を巻く。
見たくない、かも。
あまり愛想のいい性格じゃなかったのに、凪くんは芸能界に入って変わったんだね。



