何気ない一言かもしれないけど、胸にじわーっと浸透していく。
顔が、熱い
「…このさくらまん、微妙じゃね?」
「うん、私も思ってた」
何にも気にしてない様子の凪くんに、さらっと普段の会話に戻されて何もなかったように反応する。
桜味って…私も苦手かも。
「あ、しずく」
「ん?…いっ、た」
凪くんに呼ばれた瞬間、アスファルトの凹凸に足を取られて大胆にこけしまった。
「ちょっと遅かったか」
なんて呆れてる凪くんの声が聞こえる
うう、さくらまんが犠牲になってしまった
「大丈夫か?」
「痛いよー…」
「ここで何回転けんだよ。」
そんな冷酷なことを言いながらも、私の落としたさくらまんを拾い上げて、手を引いてくれる凪くんは王子様に見える。
「学習能力なくてすみません…」
「まあそれがしずくだろ。」
そんな風に笑ってくれていたのに。
それがたった数年前のことなのにな…



