もしかして、凪くんもドキドキしてくれてるんってこと？
いやいや、そんなわけないよね。
「落ち着いたか？」
「う、うん。ごめんねっ、」
結局、震えがおさまるまで凪くんは抱きしめていてくれた。
離れていく温もりがもう恋しい
「帰るぞ」
見上げようとすると、ばっと顔を逸らされてしまった。
「え、一緒に？」
「どうせ同じ方向だろ。」
「そ、そうだね」
一緒に帰るわけじゃないよね。
「…今日は電車でお仕事だったの？」
いつもマンションの下までマネージャーさんに送ってもらってるのに、こんな駅前にいたってことはそうなんだよね。
「車だけど」
「じゃあどうしてここに…」
「ここで降ろしてもらったんだよ。……んなこといいだろ。早くいくぞ」
背中を向けられていて、表情が全く読めない。
…わざわざ駅前でおろしてもらうなんて、まあそう言うこともあるのかな？
先歩いて行ってしまう凪くんに小走りで追いついて、半歩後ろを歩く
