2人の間に吹く隙間風が無くなり、再び香ったのは凪くんの香り



そして、凪くんの温もり



「っ、な、ぎ…く、ん?」



「もう大丈夫だから。…無事でよかった。」



いつもよりも何倍も優しい凪くんの声が、耳元で囁かれる。



また、抱きしめてくれてる



なんで?



私が泣いてるから?



「あんま心配かけんなよ」



聞き逃しそうなほど小さな声だったけど、聞き逃さなかった。



「心配してくれてるの?」




「…調子乗んな」



こんなにぶっきらぼうで優しく凪くんが久しぶりで、愛おしくてたまらなかった。



心のど真ん中、撃ち抜いていつまでも離してくれない。



ドキドキって心がうるさい。



…あれ



私の心臓の音なのか、凪くんの心臓の音なのかわからない。