本当だ。すごい雨。
「…兄貴、来れないって。代わりに迎えにきた」
『ごめん、家に傘一つしかなかった』と微笑んでそっと入れてくれた傘の下で、絶望感に見舞われる。
やっぱり、凪くんは私のこと嫌いなんだ。
なんで来れないかなんて聞けない。
来たくないから来ないんだ。
「…そっか。最近話せるから、嬉しかったのにな…前みたいに戻れるって思ったのに…やっぱり無理なんだねっ、うう」
ただ、前みたいに仲良い幼馴染でいれるならそれだけでいいのに。
目の前の風季が滲んでいく
「しずく…」
「私なんでこんなに嫌われてんだろうね…っ、」
「俺じゃだめ?」
その言葉は絶え間なく降り続ける雨音にかき消されそうだった。
その意味がわからなくて、見上げた風季の顔は私よりも痛そうだった。