「ちょっと、私いるんですけどー?」
なんて不貞腐れるあーちゃんの声がした。
「しずくこれ持ってて」
そう言って風季から渡されたのは、水筒と汗を拭くためのタオル
「え、でもこれいつもベンチに」
「いーから。タオルでそのかわいさ隠して。」
「へ、変なことばっかり言わないでよっ」
「俺だけ見てて!」
いつも見たいに笑ってグランドに消えていった風季
胸の音が鳴り止まない。
風季ってこんなこというタイプだったっけ?
「え、あの人って霧沢先輩の彼女とかなのかな?」
「幼馴染って聞いたけど」
「幼馴染にあんなことする?」
なんて近くにいる後輩の子たちの憶測の声だけが耳に届いて、
「あれは本気出して来てるねー」
なんて呟くあーちゃんの声は全く聞こえてなかった。
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