好きを君に。

「そういえば、きりに告白されたんだって?」

でも、藤崎が変えた話題は、今は話したくないものだった。

「ああ、うん…」
楽しかった気持ちは消えて、視線が自然と下を向く。
「なんで返事してないの?」
「藤崎に、関係なくない?」
「関係ないけどさ。きりは、高坂にはもったいないくらいいいやつだし、顔もいいし、頭もいいし」
並べたてられた桐野のおすすめポイントなんて聞きたくなくて耳をふさぎたくなる。

「好きなやつとかいないんだったら付き合えばいいじゃん」

やめて。
やめてやめてやめて。
あんただけは、あたしにそんなこといわないで。

無神経な藤崎の言葉は容赦なくあたしを傷つけて、イライラと腹が立ってくる。

「……高坂?」
「……あたし、ここの信号渡るから。帰るね」
自分を抑え込んでようやくそういったあたしは、駆け出そうとしたが。

「高坂!」
藤崎の手があたしの手首を捕まえる方が早かった。

思わず藤崎をみると、不安そうな顔をしていてまた地面を見てしまう。
こんな時でも、触れた手首をみてどきどきしてしまう自分が悔しい。


「なんだよ。なんか俺、まずいこといったか?」
不安そうな藤崎の声があたしの良心を揺さぶる。


わかってる。
藤崎は、なんにも悪くない。
ただ、桐野のために、友達のためにいってるだけ。

悪いのはあたし。
勝手にあたしが期待して。
勝手にあたしが傷ついた。

でも。
理屈ではわかっていても、感情はいうことをきいてくれない。

悲しいし辛いしむかつくし。

このまま一緒にいると、理不尽な苛立ちを、藤崎にぶつけてしまいそう。
今の関係を壊してしまいそうな一言を、いってしまいそうで、怖い。