プロローグ。

あたしは1人で中学の受験結果を聞きに行った。
次々に呼ばれる四桁の番号。
あたしは膝の上に置いてある「葉山壱千華 受験番号:1669」と書かれた受験票を時折確認しながら手続きへ向かう合格者一家を見送っていた。
大分時間が経って「1669番!」と呼ばれ席を立つ。
受験の合格発表というのに親が来ていないあたしを不思議に思ったのだろう。
周りは皆異様な目を向けてきたーー。
でも別にあたしは気にしない。1人だって慣れればなんてことはない。

大分時間がかかったが入学手続きも終わり中学の教科書をリュックに詰めるとリュックを突かれた。
「えっとー。その…。葉山さん、だよね?」
髪を一つにまとめて俯いてる合格者らしき少女だった。でも、あたしにはやることがある。こんなのに付き合ってられない。
いちいちモジモジして面倒なタイプ。あたしは嫌気がさしてその場を去った。

私がこの学校に入学した目的。
そんなものはない。ただなんとなく入学してみただけだ。

葉山家はもとより古くから残る秀才が集まっている所謂由緒正しい家系だ。
その本家の長女として産まれたあたしは完璧であることを求められた。
勉強?生花?スケート?どれもこれもトップアカデミーで最優秀でないと怒鳴られ周りからは才能がないだのなんだのと罵られ下手したら食事を抜かれることさえあった。母はこんなあたしを産んだ出来損ないとしてあたしの父に殺された。けど、あたしの父は葉山家の当主だったこともありあらゆる人を驚かせる天才で警察にも手に負えなかった。あいつはどうせ海外で悠長に暮らしているんだろう。葉山家の家に住んでた人たちだって母がどうなっていても無視した。虐めた。そして病気になってあまり動けなくなるまで追い込んだーー。

あたしはあいつらに復讐するためだけに生きている。
あいつらへの復讐だけがあたしの生きがいだ。