高瀬さんを好きになったからといって
部内恋愛禁止の中
私に何かできることはない
あすか達に相談することもできないし、
試合で活躍する所を見たり、
たまにする世間話に花を咲かせるだけ

もうすぐ春の大会も近いみたいで、
今日の練習終わりに背番号が配られた
月城監督が1番から順に名前を呼ぶ

「1番、、、高瀬!
お前はうちのエースなんだからな
頼んだぞ」

だなんて
2年生なのにすごいなぁ
なんて思いながら
表情には出さないように拍手する

その後も
2番の柊さん、3番右京さん、4番の颯さん、6番の楓さんなど、いつもと変わらないメンバーが名を連ねた

大会は3日後の土曜日から始まるようで
それぞれが、特に3年生は
最後の夏の大会にも関係があるからか、
いつものふざけた感じとは一変し、
すごく緊張した雰囲気だった

最後、部室の鍵を締めに行くと
部室にまだ誰か残っていた

「あのー、
もう鍵閉めても大丈夫ですか?」

と中を覗き込んでみると、
「1」と書かれた背番号を
じっと見つめていた高瀬さんが
ぱっと顔を上げた

「ごめんごめん!
やぁーやっぱ緊張するなー!!」

なんて笑顔で私に言ってきて
さっきまでの悩んでいた表情の面影は
残されていない

、、そうですね、

なんて、応援してますくらい
可愛く言えたら良かったのに
まだ入部して1ヶ月も経っていないマネージャーに
相談することなんかできないよね
とか可愛くないことばかり考えてしまう

「じゃっ!また明日!」

とまだ笑顔で手を振る高瀬さんに

「ありがとうございました
また明日」

と言うことしかできなかった