ヴェルゼは地に手と頭をつけ、私に許しを乞うた。

「ヴェルゼ様がそんな格好を……」

 驚きを隠せない様子のエアリー。

 ヴェルゼは自ら強い魔力を捨てた。私のために?
 信じられなかった。

 何故なら〝悪魔ヴェルゼ〟は誰にも媚びることがなく、神に次ぐ強い悪魔。怒らせたら三界を破滅もさせることが出来るとの噂が、人界の間では常識だったからだ。

 想像していたような悪魔とは違った。
 そしてどうせ私には、選択肢はない。

「一緒に暮らす件、承知いたしました」
「いいのか?」
「はい、時間が戻る前のことは何も分かりませんが……私たちは一緒になる運命ですし」