帰る途中、エアリーに花を見つけたと念で伝えた。花の小屋に戻るとエアリーが妖精の花に混ぜる粉を準備して、小屋の入口で待っていた。

「ヴェルゼ様、ルピナス様、おかえりなさいませ」

 花の小屋に入るとくしゃみが出てきた。

「ヴェルゼ様、完成しましたらすぐにお渡ししますので、ここから離れていた方がよいと思われます」
「いや、大丈夫だ」
「……離れていてください」

 エアリーの後に続き、ルピナスが強めにそう言ってきた。

「わ、分かった」

 ルピナスには逆らえない。
 逆らいたくない。
 嫌われたくない。

 我は離れて待つことにした。

 悪魔は耳がいい。もちろん我もだ。ふたりの会話も聞こえてくる。薬の話をしているルピナスとエアリー。その後、気になる話をしだした。

「森の中でのヴェルゼ様、如何でしたか?」
「……優しくて、獣からも守ってくださいました」
「そうでしたか……実はヴェルゼ様は三界の全ての者たちに冷たいと言われておりますが、本来はそうではない気がするのです」
「私も、実は思いました」
「ヴェルゼ様は魔界では一番力があり、魔界の頂点にいらっしゃる方でしたが、それ故に裏切りにも何回もあい、そういうのも含め、あんな風になってしまったのかと」
「……」
「けれどもルピナス様のお陰で、ヴェルゼ様の優しさも見られるようになりました」