それからふたつ、冷たいヴェルゼのシーンが映し出され、パチンと映像が閉じた。と、同時にリアルでは外から光が。急いで外に出ると、エアリーがモフモフにされていた。
「くそっ」と言い、ヴェルゼは舌打ちをした。
「なんでこいつは我に催眠魔法を……我の魔力が戻ってきているから効き目は一瞬だったものの」

 一瞬ではなかったけれど……もしかして、映像を観ていた時間、ヴェルゼは睡眠魔法にかかっていた……?

「裏切りか……こいつも」

 ヴェルゼはエアリーに魔法をかけようとした。私は間に入り、それを止めた。

「何故邪魔をする」
「エアリーは私に、あなたの過去の事実を伝えるためにあなたを眠らせたのです」
「な、なんだと? では、そなたは見てしまったのか? 我の、そなたに対する酷い態度を」
「えぇ、見てしまいました。しっかりと」
「な、なんと……そんな……」
「あなたは『花が嫌いだ。あの見た目も匂いも。目の前にあるだけで虫唾が走る』とおっしゃいました。あなたは花がお嫌いだったのですね」
「いや、それは……」
「あの映像を見るからに、私は本当に醜い扱いを受けていました……ただでさえ悪魔と人間の間には距離があるというのに」
「あれは、本当に反省している」
「私があんな扱いを受けていたなんて。想像よりも酷くて。私はともかく、花をあんな風に扱うなんて。私はあなたと一緒になるのが不安です。もしも本当に私に選択肢が与えられるのなら、あなたの元へは嫁ぎたくはないです」
「いや、それは……」

 一緒に過ごしているうちに、ヴェルゼのことを優しく感じ、共に過ごすのもよいかもしれないと気持ちが少し揺らいでいた。けれどもやはり、悪魔は噂通りそのままの悪魔なのか。