「母親、体内に毒があったな……」
「毒ですか?」

 我が毒について言うと、ルピナスの顔は真っ青になってゆく。

「毒を盛ったのはそなたの姉達だろう」
「えっ、私のお姉様達がお母様に毒を?」
「あぁ、そうだ」
「うそ……」

 ルピナスは真っ青な顔のまま、口元を手で抑える。

「それでは、ルピナス様のお母様の身辺に起こった出来事を見てみましょうか」
「出来事とは……?」
「お母様がどのようにして、あぁなったのか、真実を確認してみるのです。なので、怪しいルピナス様のお姉様おふたりの様子を……」

 エアリーは過去を覗ける。覗けるだけで、もちろん過去に触れることは出来ないが。エアリーとはもう何百年も一緒にいるが、そんな能力があるなんて、つい最近まで全く知らなかった。エアリーにも過去にも、全く興味がなかったからだ。

それを知ったのは、ルピナスが魔界で亡くなってから。何故自ら命を絶ったのだろうと、ルピナスの亡骸の横で嘆いていたら、エアリーがその能力を使った。ルピナスの過去。つまり、ルピナスの目で見えていた過去の記憶が頭の中に流れる。