サッカー部の練習は予選に向けて激しくなる。みんな毎日くたくただった。

「さすがに練習キツすぎるわ。」
純が言う。

「こういう時、彼女とかいたらなー。帰って、電話とかしたら癒されるじゃん。」
大地が話す。

「わかるわー。でも大地この前告白されてたじゃん。付き合わなかったの?かわいい子だったよ。」

「まあなー、なんていうか好きじゃないなって。」

「でもさ、付き合ってみて好きになることもあるじゃん。かわいかったんだし付き合えばよかったのに。」

「もう軽い気持ちはやめようって。真剣に好きになって付き合おうって思ってんの。」

「どうした急に。さては、好きな子できた?」
純は興味津々に聞く。

「えっ別にそんなんじゃねぇーよ。」

「何焦ってんの。まじなんだ。誰だよ、教えろよ。」

純はしつこく聞くが、大地は教えなかった。

「純ー、次さ、もうちょとラインあげて。攻撃に多くつなげたいわ。だから、純ももう少し前線に行ってくれ。」
公平が休憩中に声をかける。

「おけー。わかったわ。」
公平も座り、水分をとって休憩した。

「なぁ、廉って彼女いんの?」
公平が大地に聞く。

「いや、いないと思うけど、なんで?」

「廉、体育祭の後からたくさん告白されてるじゃん。クラスの女の子が言ってたんだけど、気になってる子がいるからって断るらしいわ。」

「そんなんさ、廉適当に言ってんじゃね。好きじゃないって言うより、気になってる子がいるの方が相手が傷つかないじゃん。」
純は言う。

「俺も最初はそう思ったんだよ。ただ、1人の子が気になってる子はどんな子なのって聞いたら、幼なじみって答えたらしい。」

それを聞いて、大地は飲んでいた水が気管に入り、咳き込む。具体的に言ってるなと思った。

「おい大地、大丈夫かよ。」

「大地なんか知ってんの?」
2人は言う。

「いや、断られてんのにどんな子って聞くのすげぇメンタルだなって思っただけ。」

「あっそういうこと。まあ、廉はサッカー男だからな。今は恋愛に興味なさそう。断るために適当に言ってんだろうな。」
公平が言った。