桜が満開の季節。


普通の人なら、桜を見ながらいい気分で学校へ向かうのかもしれない。でも、私は違う。いつまでも晴れない憂鬱な気持ちで、渋々学校へと足を運ぶ。


「おい、またお前と同じクラスかよぉ」


「そんな言い方ないじゃん!」


校門を通り、昇降口に近づくと、喜びの声や悲しみの声が辺りを輝かせる。


私は正直、うるさ過ぎず勉強がまともに受けられるならどうでもいい。


中学二年生の時までは、そう思っていた。でも、今は違う。


私は、咄嗟に彼の名前を見つけ出すために目を泳がせた。


「花上、優輝‥‥‥」


「あ、あった」


優輝の名前は、私と同じクラスの枠の中にすっぽりと収まっていた。


「なに人の事探してるの」


彼の名前を見つけたと同時に、聞き覚えのある声の人物が私の肩に手を乗せているのがわかる。


朝っぱらから本当に距離が近い。本当にやめて欲しい。


「おはよ、優輝」


「うん、おはよう美月」


「で、なんで僕のこと探してたの?」